なぜなぜ管楽器(その2):閉管と開管とは?モデルの説明

なぜなぜ管楽器(その2):閉管と開管とは?モデルの説明

こんにちは

サーガラのホルン吹きです

 

この記事は管楽器の構造とその倍音特性を説明すべく書いているものです

動機については下記記事を参照ください
saagarawq.hatenablog.com

上記記事の説明の手始めとして
今日はまず気柱の共鳴の一番単純なモデルである
筒型の気柱について紹介したいと思います。
以下は私が別に紙に起こそうと思って書いているファイルから抜き出したものです。
適宜修正していますが、口調は異なるのでご了承ください。
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はじめに

この記事では楽器の構造と音についての物理学的な観点からちゃんと説明をしたいと思う。普段なんとなくインターネットで見ている楽器に関する情報には
明らかに間違えているものや怪しいものをたくさん目にする。私がこの記事を書いた一番の同期はクラリネットは閉管楽器でそのほかは開管楽器だという説明を
みてとても不思議に思ったと同時に満足する説明が一切ない事である。この開管か閉管かは楽器の「音」にとって非常に重要な要素で同じ長さの楽器でも閉管と開管では
最低音に1オクターブも差が出るのである!そんな重要な事にも関わらずすぐに答えが出てこないだけでなく矛盾した説明にもどかしさを覚えた。
そんな身近なのに説明できない楽器の性質に関してここに答えを出したいと思う。閉管開管に関する説明は最終目標であり、本記事ではそこまで踏み込まない。
ここでは最も簡単な管楽器のモデルである円筒型の気柱共鳴について説明をした。次章以降でモデルとモデルから導かれる波動方程式及びその解法を説明する。
最後に導かれた解が意味することを考察する。

モデル

今回この記事では気柱の共鳴現象について紹介する。まずは共鳴現象を記述するためのモデルを導入する。
円筒型の容器に入った空気を頭に思い浮かべてもらいたい。思い浮かべた円筒は密封されていても良いし両端が開いていても良い。
また、片方だけ開いた円筒でも良い。密封または片方だけ開いた円筒であればチップスターの容器の蓋を閉じた状態または開けた状態である。
両方開いた円筒は陸上のリレー競技で用いるバトンの形状である。図 1を参照。

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図1:気柱のモデル

普段空気について呼吸をする上でいつも実感しているかもしれないが、物質対象として実体を感じることは少ないかもしれない。
ここで注射器に封入した空気を思い浮かべて欲しい。空気の入った注射器のピストンを押し込もうとしても引き抜こうとしても
反発する力が働くことは想像に難くない。実際にやったことがある人も多いと思う。このように空気は元に戻ろうとする弾性を有する。

別の例でもう少し弾性について考える。四角く切り出したゼリーや寒天を上から指などでポンと叩くとプルプルと揺れる。
この揺れ方には2種類ある。ゼリーを上から叩くとゼリーの表面をプルプルと伝う波が発生する。
この表面を伝う波は波の進行方向に対して垂直に媒質が振動する。これは進行方向に対して横に揺れる波なので「横波」と呼ばれる。
ここで図2を見てもらいたい。この図を見るとゼリー内部を伝う波が描いてある。これは少しイメージすることが難しいかもしれない。

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図2;ゼリーの振動

このゼリー内部を伝わる波は疎密波と呼ばれ、ゼリーの内部にぎゅっと圧縮された状態と伸長した状態ができる。
ゼリーは元に戻ろうとする性質があるのでお互いが元に戻ろうとするとまた別の場所で圧縮された状態と伸長した状態ができる。
このようなことが幾度となく繰り返されることでゼリー内部を疎密が伝搬する。この疎密波はその進行方向と同じ方向に媒質(ゼリーの内部)が
動く。波の進行方向に対して縦方向に振動するので「縦波」と呼ばれる。実はこの疎密波である「縦波」が音波と呼ばれる。

空気の場合は圧縮伸長に対して弾性を持つが、横にスライドさせる事に対しては弾性を持たない(元に戻ろうとする力は働かない)。そのため空気中を伝搬する波は縦波である。
実際のところ空気に粘性は存在するので横波が全くないかというとそれはわからない。液体中では横波の音波があることが知られている。
ただあったとしても空気の圧縮に対する弾性の方がはるかに強いので無視できるはずである。

さてここまで波について書いてきたが、ここで本題のモデルに戻ろう。先ほどの図1の円筒の中での空気の振動はどのようになるのか少し考える。
先ほどの議論で空気中を伝搬するのは縦波で空気の疎密が伝搬することを述べたが、これを十分細長い気柱で考えると図3のような振動になりそうだ。
1次元方向だけ考えれば良いかについては後で述べる事にする。

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図3:細長い円筒中を伝搬する縦波

モデルについてここでまとめておく。
形状:円筒型
性質1:体積の圧縮伸長の操作に対し弾性(抵抗する力)を持つ
性質2:伝搬する波は縦波(疎密波)

実は図1の円筒の端が開いているか閉じているかによっても条件が大きく異なり、違った性質を示すことがあとでわかる。筒の端が開いている場合はその橋の部分で空気の圧力が
外側の大気と同じになることが要請される。一方で筒の端が閉じている場合はその端の部分の空気分子は振動できないため端に置いて粒子の速度が0になることを要請される。
こういったモデルの端(境界)での条件を「境界条件」と呼ぶ。境界条件を以下にまとめる。
開口端(筒の端が開いている時):筒の端に於いて外部の圧力と内部の圧力が等しい=音圧がゼロ※音圧とは音により発生した圧力で大気圧からの差分を示す
閉口端(筒の端が閉じている時):筒の端に於いて粒子速度がゼロ

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ここまででブログタイトルの閉管と開管について書いていなかったので加えて説明をする。
閉管楽器は図1の中段の蓋を開けたチップスターの容器
開管楽器は図1の下段のバトンの形状に相当する
実際は円筒形でなかったりするため必ずしも図1のものをそう呼ぶわけではない
定義としては片閉口端のものが閉管
両開口端のものが開管と呼ばれる

管楽器の大半は閉管に属すらしい
#本当のところどうなのか結構きわどい気がします。。。
#でも例えば口の奥まで考えるとフルート以外は閉管楽器な気もしてきますね

もうちょっと先で面白い画像が登場します
ちょっとネタバレです
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